リノベーション

緑道を望む住まい

南西側外観。建物が周辺から目立つ立地であった。「街の一部としての家」として 地域の方達の景観性に配慮して外観を計画した。

外壁仕上素材は上部が杉板、下はガルバリウム鋼板。耐久適正 と 雨仕舞を考慮して選定。

囲われ感のある玄関ポーチ。

玄関ホール。床には栃木県の日光赤杉を採用。 できるだけ新潟に近い地域から、国産の良材を選びたいという意図で選択。

階段やカウンターの造作材は、杉の巾はぎ集成材で作成。

手前の柱は既存(築58年)の通し柱。奥の柱は新規ですが、古い柱と色調を馴染ませています。

玄関土間はモルタル仕上げ。天井には、上階と空気を繋ぐ横格子。

玄関から続く土間の書斎スぺース

1階中央には、約3帖の洗面脱衣室。

浴室は窓無しとして耐震とプライバシー性に配慮。洗面脱衣室からのひかりで十分に明るい。

1階トイレ。ビンテージカラーの塗装仕上げ。

2階リビング。間口2.5間(4.5m)でも開放的な住空間に。

ダイニングキッチン側は水平天井(桧小幅板風羽目板)として視線を景色に誘導。天井内部は空調のダクティングスペース。

ダイニングはメインビューを望む特等席。遠近感のある景色が食卓から楽しめる。

ベランダを介する事で中と外の距離感を調節している。

南西向き屋根付きの半外ベランダ。遠くまで緑道の景色が広がる。上部には日射遮蔽用のアウターシェードを仕込んである。

造作の棚ですっきり収納。

大開口を設け、街路樹を正面に望む開放的なキッチン

南東側。日射取得用の窓が連なる。造作ソファで壁に沿わせて居場所を確保。

リビング側は、R型の勾配天井として古い丸太梁と馴染ませながら高さを確保。歴史(時間)を感じる美しさに。

1F寝室。ベッドボードはツガ材で造作。

2F子供部屋。三角勾配天井で太鼓梁をアラワシに。

手塗りの漆喰の壁は光の当たり方で表情を変える。

リノベーション前 南西側外観

リノベーション前 南東側外観

リノベーション前 2階南西側の窓からの景色

・性能向上リノベデザインアワード2023で優秀賞を受賞!

・日本エコハウス大賞2024【モデルハウス・自邸部門】で最優秀賞を受賞!

既存物件のシルエットや外部環境の美しさを活かしつつ、現代の一般的な新築を超える超高性能を実現!

小屋裏にかかった丸太梁など、古い住宅の木材をあえて見せることで、新築では出せない歴史を感じる美しさに。

極厚の断熱材で壁、屋根、床を覆い、築58年の家もエアコン一台で楽々全館冷暖房。

太陽の熱を上手く利用したパッシブ設計で超省エネです!

 

【物件概要】

■経緯
・設計者が中古住宅を購入、リノベーションした物件
・家族構成:夫、妻、娘 の 3人家族

■要望
・新築に劣らない性能(耐震、断熱)
・古さを活かした意匠
・内装材には可能な限り国産材を使いたい。

■設計方針・プロジェクトの目的・思い
・「良質なストック」レベルの性能とすること
 ①耐震等級3相当 
 ②断熱性能G2以上
 ③長期優良住宅認定の取得(工事後、既存 で取得)
・外部の景観、眺望を楽しめる住まいとすること
・町の景観として、美しいと思える建物にすること

■立地概要
・所在地は新潟県長岡市。「旧市街地」であり、利便性の良い立地。信濃川を中心とした同市内でありながら、洪水ハザードマップからも外れている。北西側には市が管理する緑道にも面しており恵まれた周辺環境。

■既存状況
・駐車場は無く、敷地をブロック塀が囲っており、ご近所様の視界を妨げていた。
・建物の一部が北西側に不動沈下しており、1階床に勾配(17/1000)が発生していた。
・断熱状況は床壁天井共に無断熱、サッシはアルミ単板、ひと部屋のみ複層ガラスアルミサッシ。

■プラン内容
・耐震性及び眺望性を考慮して2階リビングとした。
・2階のダイニングからは奥行感のある緑の眺望を楽しめる。
・南西側には半屋外空間のベランダを設け、内外の視線コントロールと生活の楽しさをプラスした。
・一部の減築及び増築をし、整った躯体形状とする事で、①施工性 ②温熱性 ③外観性 それぞれの向上を狙っている。
・外観は、窓の配置を整える事と、外壁仕上材を2階は杉板、1階はホワイト系色のガルバリウム鋼板として緑が映える様に。素材適性を考慮しつつ景観性に配慮した。
・耐震補強では、まず基礎補強を行い、基礎の評点を上げるとともに部分的な不動沈下に面で抵抗する計画に。
・上部構造の補強内容は、
 既存構造材の梁成補強及び柱位置の修正、追加。
 現行基準金物による接合部補強
 面材による鉛直力補強(内外共)
 水平構面の補強
 ホウ酸系の防腐防蟻処理

■性能値(実行内容)
Iw値 上部構造評点:1.57
 ※積雪1.0m及び軟弱地盤 考慮(SWS試験済)
Ua値:0.26 w/㎡・K
ηAC値:1.3
C値:0.8 (中間・完了共)
暖房負荷:17.2 kWh/㎡(Qpex)
冷房負荷:13.4 kWh/㎡(Qpex)

■温熱環境測定
夏期には、冷房計画の運用状況をサーモカメラで検証。
https://www.sumitsuguie.com/staff_blog/2023/09/22/985/
各室の躯体表面温度が1階は24~25℃、2階は25~26℃で運用出来ていることを確認している。