工事進捗
水田を望む家~断熱工事の解説~
2022/01/31
前回の記事で、高性能木製窓の設置状況をお伝えした、長岡市内「水田を望む家」
今回は、断熱工事、気密工事の内容をまとめてお伝えします。
結論を先にお伝えすると、「分厚い断熱材を施工する際には、気密施工(空気の流入する隙間を無くす工事)をセットできちんと施しましょう」という内容です。
例えて言えば、
分厚いダウンジャケットを2枚重ねで着ても、
袖口が閉じられておらず、空気がヒューヒューと入ってしまっては、寒いのです。
そんなことをイメージしながら読んでみてください。
全面道路側からの立面写真。
上棟後にブルーシートで雨養生した状態からのスタートです。
断熱工事の主たる構成はこんな感じです。
ひとつづつ行きましょう。
まずは床下の基礎断熱工事。
基礎の立上り部分には厚さ100mm、平面には厚さ75mmのボード状断熱材を敷き込みます。
材料の取り合い部分のわずかな隙間には、現場発泡ウレタンフォームで断熱気密補強。
基礎断熱施工後には、床下地合板を張っていくのですが、床下地合板を張る前に、防湿シート(白いフィルム)を壁際に先張りし、壁断熱材の気密シートと連続するようにします。
続いて壁内部の充填断熱。
室内側から、高性能グラスウールをみっちりと充填していきます。
その後、白い防湿フィルムをしっかり重ね合わせながら張ります。
壁のコンセント部分には、コンセント用のポリプロピレン製の気密ボックスを設置。
一方、壁の屋外側の付加断熱工事です。
白い壁面は、耐震面材。
そこに木材を横に固定していき、内部と同様に高性能グラスウールを充填します。
ただし、雨仕舞に配慮しながら施工を進めるので、グラスウール充填後はすぐに透湿防水シートを張っていきます。
なので、透湿防水シートをチラッとめくると、付加断熱のグラスウールの姿が確認できます。
外周面全体に付加断熱充填 → 透湿防水シート張り → 外壁下地通気胴縁 を施工した様子がこちら。
そして、換気ダクトなどの外壁貫通部分は、別部材で気密処理を施します。
屋根勾配なりに形をつくった屋根断熱部分。
掃除機の様なダクトを、気密シートに最小限の穴を開けながらセルロースファイバーを吹き込んで充填していきます。
内部が見えづらいため、限定的に上半身を突っ込みながら、隙間なく充填していきます。
ちなみに、屋根断熱層から出てくる電気配線まわりには、あらかじめ気密処理。
(プラスチック製パッキンを貼り付け、さらにコーキングを充填)
ここまでが基本的な断熱気密構成でした。
この後は、プラスアルファの断熱気密工事。
前回ブログでご紹介した、南側面の高性能木製サッシ。
その周辺に、青い断熱材が入っているのがわかるでしょうか。
これは、窓と窓の間に、外壁下地胴縁の厚さ(18mm)分、追加で施した付加断熱です。
基礎断熱で使用した断熱材を、加工工場に持ち込み所定の厚さにスライスしてもらい充填しました。
「たかが18mm」ですが、「されど18mm」なのです。
断熱材できちんと覆い、気密処理を施しスキマを無くす。
これが基本で大原則です。