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© リノベ専科 住み継ぐ家|株式会社大庄 All Right Reserved.

住宅性能はどの程度を目指すべきか

今回はタイトル通りの内容ですが、拠り所がないと何を基準に考えれば良いのかも分かりませんね。
当然、性能を上げれば建築費用は高くなります。
住宅を購入する際は借入れをする方がほとんどだと思いますので、その上限の問題もあります。
住宅ローンの支払額が高くなり過ぎて、「住宅貧乏」になってしまっても良くありません。
 
では何を基に考えるべきか。
得られるメリットとかかるコストのバランスを考える必要がありそうです。
 
まずは耐震性能です。
これに関しては間違いなく「耐震等級3相当=耐震評点1.5」を目指すべきと思います。
日本は地震大国であり、先の熊本地震でも多くの住宅が倒壊・半倒壊となりました。
ただし、耐震等級3の住宅だけは地震後も問題なく住むことができたようです。
日本全国どこでいつ熊本地震や東日本大震災レベルの地震が来るか分からないという状況で、耐震等級3未満の
家を建てるという事は、極端に言えばその家は「いつ倒壊または半倒壊してもおかしくない」ということになります。
耐震等級3相当の家を建てれば必ず大丈夫とは言い切れませんが、熊本地震からも、法令基準の評点1.0では
耐えきれず、耐震等級3であればかなりの確率で生き残ることができることは確かなようです。
家を守ると同時に命を守ることにもなります。
間違いなく、耐震等級3は必須だと思います。
 
さて、では断熱気密性能はどうでしょうか?
当社ではまず夏冬各エアコン1台で「無理なく」全館冷暖房が可能かどうか(極めて大きい家の場合は1台とは
限りません)というのが一つの基準になります。
 
「無理なく」というのが実はポイントで、常にエアコンをフル回転させていては電気代がかかりますし、
そもそも不快です。
 
例えば、冬の暖房。
熱損失のほとんどない家であれば、温まった空気は室外へ逃げることなく、留まります。
ほんの少しの熱損失分をエアコンは補えば良いのです。
各部屋の温度差がなく、気流も安定します。
 
しかし、熱損失がある程度あると、エアコンはその損失した分の熱を補うべく、頑張って動きます。
またはより強力なエアコンを設置しなくてはならないかも知れません。
マイナスと同じ量のプラスで補っているので、一見それでも良いように感じますが、その状態では
常に家の中に空気が冷やされている部分が存在し、温度ムラが生まれます。
その温度ムラは空気の流れを生みます。
寒い空気は下に下がるので、足元が冷えます。
寒いと感じ、エアコンの温度を上げれば、さらに温度差が大きくなり、気流の流れが大きくなります。
そうすると、より足元に冷たい空気が流れ込んでくるという悪循環が生じてしまいます。
 
どちらも熱損失(マイナス)を暖房(プラス)で補い、トータルの熱量をゼロ(一定温度を保つ)と
していますが、実際に生活してみると、その快適性は驚くほど違います。
これが当社の言う、「無理なく」の意味です。
 
これは電気料金のシミュレーションなどでも確認できます。
夏や冬の電気代がそれ以外の月の倍以上になるようでは、エアコン一台で全館冷暖房できたとしても、
経済的でもないですし、結局体感として寒い/暑いを感じてしまう事になりかねません。
 
では、そうならないための断熱性能というのはどの程度か。
結論を言うと、ズバリ!HEAT20のG2グレードです!
 
HEAT20というのは2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会で2006年に発足されています。
(もう2020年ですが、現状は...)
 
その中にG1グレード、G2グレードという2つのグレードがあり、G2グレードの方が断熱性能が良いです。
それぞれに必要なUa値(Ua値で基準が決められます)、そうすると室温がどの程度まで下がるのかなど、
HEAT20のHPにまとめられていますので、詳細はそちらでご確認頂ければと思います。
HEAT20のHPはこちら
 
必要な断熱性能は地域ごとに基準が決められており(例えば北海道と沖縄では必要な断熱性能は違いますよね)、
新潟県は基本4地域、長岡市・見附市は5地域に分類されています。
 
では、5地域を見てみましょう。
G1グレード:Ua値=0.46以下
G2グレード:Ua値=0.34以下
 
おそらくG1グレードでも無理をすれば(=先述したようにエアコンをフル回転させれば)、全館冷暖房は
可能だと思いますが、それだとやはり「ムラ」が生まれます。
電気代等のシミュレーションの結果、エアコン一台で「無理なく」全館冷暖房できるのは、この地域では
G2グレード程度にする必要があります。
 
ちなみに当社モデルハウス「上新田の家」はUa値=0.25です。
1地域の北海道のG2グレードがUa値=0.28以下なので、北海道でも通用するレベルです。
モデルハウスなので少し張り切った断熱性能ですが、本当に温度ムラや温度差が少なく、快適です。
しかも新築でなく築28年の戸建て住宅をリノベーションしてこの性能を出すことに成功したことが
大きな意味があると思っています。
 
さらに上のレベル(例えばパッシブハウスクラス)というのもあるのですが、それは後日説明します。
当社としてはここまでの性能を(見附・長岡地域においては)求める必要はないという判断をしています。
できないことはないようですが、この新潟という地域の特性上、相当な金額が必要となり、経済的なメリットが
享受しにくくなります。
もっとくだけた言い方をするならば、「コスパ」が相当悪くなります。
 
そう、G2グレードは住宅の快適性、コスパの観点から最適解であるように思います。
 
そこでまず、断熱に関するコストの話をしたいと思います。
断熱性能(Ua値だけの話ですが)を決める上で、大きな影響を及ぼすのは①断熱材と②窓です。
 
①の断熱材はその種類と、厚さでほぼ決まります。種類は様々あり、さらに例えばグラスウールの中でも
モノによって性能差があります。当然、断熱性能の良い断熱材は高いです。
あとは厚さです。これも厚ければ厚いほど断熱性能は良くなります。基本的には柱の間に充填する断熱というのを
どこの工務店さんでもやっていますが、これだと最大120mmの厚さになります。これ以上の厚さを求めるので
あれば「付加断熱」という方法をとり、柱の外側などにさらに断熱材を入れられる「枠」を作るようなイメージです。
これだと論理的には無限に厚さを厚くすることができますが、金銭的にも躯体的にも無理なくできるのは120mm
までだと思います。
よって、「断熱材の断熱性能」×「断熱材の厚さ」=「壁・床(基礎)・天井の断熱性能」となります。
 
②の窓は①の方法で断熱した壁に穴を空けてしまう部分です。よって、断熱的には窓は弱点になります。
ここをきちんと対策していないと、せっかく断熱材で家全体を包んだのに穴だらけという結果になってしまいます。
昔はアルミサッシが主流でしたが、今は樹脂サッシというものが国産品で各メーカーが販売しています。
樹脂はアルミの1/1000の比熱、つまり1000倍熱を通しにくいので、1メートルの厚さのアルミと1ミリの厚さの
樹脂は同じ断熱性能ということになります。
他には樹脂とだいたい同じくらいか、それ以上の性能の木製サッシという商品もありますが、ほとんどが輸入品で
金額が一気に上がる場合が多いです。
木の風合いは綺麗ですし、性能はかなり高いので、おススメではありますが、この辺りはお財布とご相談という
ことになるでしょう。
サッシの部分で残っているのはガラスです。これはもう単純に何枚ガラスかという考えで良いと思います。
1枚ガラスよりもペアガラス、ペアガラスよりもトリプルガラスが性能が良いです。
極々一部の商品を除けばトリプルガラスが最高性能で、金銭的にも家全体で考えれば無理のない範囲です。
 
①、②より、経済的にも無理のない範囲でできるのは、120mm以下の付加断熱+トリプルガラス樹脂サッシの
組み合わせかと思います。
そして、この範囲で到達できる断熱性能基準がG2グレードとなります。
 
つまり追加のコストをある程度抑えつつ、断熱性能を上げていくとG2グレード付近に落ち着き、またそれが
電気代等の試算で見ても、エアコンへの負荷が少なく温度ムラが少ない、経済性と快適性・省エネ性の
バランスの良い家づくりという結論です。
 
余談ですが、現在、HEAT20でもG3グレードという基準の導入を検討中とのこと。
現在最高クラスのG2ですが、今後は更なる高断熱化が求められる時代になるということです。
 
そして気密性能ですが、当社としては最低でも1.0以下が必要と思っています。
新築では0.5以下を目指したいところです。
リノベーションではどの程度まで下げられるかは、その家の状態によってまちまちです。
しかし、気密性能が悪ければ隙間だらけでそこから熱が逃げてしまい、折角上げた断熱性能も台無しに
なってしまいます。
モデルハウスは0.3(30坪総二階の住宅の隙間が名刺1枚分以下)なので、リノベーションでもかなりの
高気密住宅ができることが証明されています。
 
気密性能に関しては気密シート張りをしているか、その貼り方が適切かなど、施工面の部分が大きいと
思いますので、そのあたり、きちんとやってくれる工務店さんを選ぶ必要があります。
また、新築時には大型パネルを使うという方法もあります。工場で壁を全て作ってくるというもので、
ある程度の気密性能を担保できます。
 
また、重要なのは気密試験をきちんとやっているということです。
そもそも、これをしていなければ、実際の気密性能が幾つかは分かりません。
完了時だけでなく、施工途中に気密試験を行うことで、ある程度は手直しできます。
施工中と施工後の2回の気密試験実施をきちんと実施しないと本当に気密の良い家は作れません。
 
長くなりましたが、住宅の躯体の性能としては、弊社の考え・基準は以上のようになります。
まとめると、
 
①耐震性能は耐震評点1.5以上(耐震等級3相当)
②断熱性能はHEAT20のG2グレード
③気密性能は最低でも1.0以下、可能であれば0.5以下を目指す
 
参考までに当社モデルハウスは築28年の戸建て住宅(30坪)をフルリノベーションして以下の性能です。
①耐震性能:耐震評点1.5
②Ua値=0.25(見附市G2グレードは0.34以下)
③C値=0.3
 
まずはこのように各社が自社の躯体性能の基準や考え、その根拠を示していくことが重要だと思います。
当然性能の良い家は施工費が高くなります。
何となく価格だけを比較する時代から、求める性能と価格のバランス、そしてデザインを比較できる時代に
なっていけば良いなと感じています。